幸せな人生のための3Q
みなさんは、お子さんのどのような成長を願っていますか?
教育者として30年近く活動する中で、多くの子育てに関する相談を受けてきました。特に、学校の成績や、受験といった、子どもの将来を左右すると考えられる時期の悩みが多いことに気づきました。受験の「合否」や成績の「良し悪し」など、子どもの能力を一つの側面からだけで判断しようとするあまり、悩んでいらっしゃる保護者の方々も少なくありません。
私自身、二人の子どもを育てていますが、親としての一番の希望は、子どもたちが健やかに成長し、どんな困難にも立ち向かえる心身を持った大人になってほしいということです。そして、自分の人生を自分で切り開いていき、幸せな日々を送ってほしいと願っています。
心から笑顔を出し、美味しいものを喜んでいただき、悲しい時には涙を流し、辛い時には助けを求め、欲しいものを目標にがむしゃらに努力する、など、全て感謝すべき「幸せな日々」です。
子どもが自分で思い描いた幸せな人生を生きていくためにとても大切になるのが、IQ(知性)・EQ(人間性、感情管理)・CQ(好奇心、探求心)の3Qです。
人は生きていく上で、毎日さまざまな感情や出来事を経験します。楽しい、嬉しい、美味しい、悔しい、悲しいといった感情を抱きながら、私たちは自分自身を深く知りたいと思っています。学校や社会で、どのようにして自分の居場所を見つけ、自分には何ができるのか。そんなことを考え、興味を持っているのです。
もちろん勉強は大切ですし、特に小学校での学習は、子どもの成長の基礎を築く上で重要です。しかし、勉強ができるだけでは不十分です。学んだ知識を活かして、自分や周りの人々の生活を豊かにするために、EQは不可欠です。さらに、自分の可能性を広げ、未知の世界に挑戦したいと思うためには、CQも必要です。
長い人生の中で、学校で過ごすのは、最初の20~25年程度に過ぎません。その期間は、子どもの能力や可能性をIQだけで測ろうとする傾向が強いように感じます。しかし、その後の成功や幸せを大きく左右するのは、間違いなくEQとCQも含めた3Qなのです。成績の良さだけで評価されるのは、学生時代までです。勉強ができれば幸せだと感じるのは、その頃まででしょう。社会に出れば、知性と心をバランスよく使いこなして生きていくことが求められます。
子どもが社会に出るまでに、学ぶべきことは数多くあります。しかし、焦る必要はありません。本当に大切なものは何かをじっくりと考え、子どもたちを育てていきたいと思っています。希望に満ちた未来へと導き、幸福感と生きる力にあふれた人生を送ってほしい。
そう願いながら、私はいつも子どもたちと向き合っています。